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「俺に似たひと」を読む [読書]

ネットの記事で見つけて、すぐさまアマゾンに注文した本「俺に似たひと」を午前中に読み終える。午後からテニスに行こうかどうしようか迷ったが、今日の気分は読書モードだと感じて、同時に購入した2冊目を読むことにした。その日の行動を気分で決めることができるなんて、なんと贅沢なことよと思いながら、読書三昧の一日を過ごす。

「俺に似たひと」(平川克美著:医学書院発行)は、団塊の世代の著者が80代の父親を介護した1年半の物語。介護記録でもあるが、淡々とした語り口で、父親と息子が歩んできた戦後の日本社会の変化、老いと死についての洞察を通じて、父と子の内面の葛藤を描いている。

著者は母親が亡くなったあと、長い間パーキンソン病を患い、一人暮らしは無理になった父親の面倒をみることにする。彼が育った家でもある実家を改造し、そこで父親と暮らし始める。昼間は仕事に行くので、ヘルパーに頼むが、朝晩の食事の支度から、入浴、下の世話まで一人でする。やがて、父親は入退院を繰り返すようになり、せん妄の症状が現われ、半覚半睡の状態になる。

せん妄という状態が、なぜ厳しい状態に置かれた患者に訪れるかについて、著者は「せん妄とは、身体的あるいは精神的痛苦に対する最終的な防衛機制であり、生命体が平衡を保つ最後の防衛線として最初から備わっているものなのだ。もしこの機能がなければ、ひとは発狂するか自殺へ走ること以外に、逃避の方途がない。」と思うようになる。

介護の中で、制度上のさまざまな問題にも直面したはずだが、そういうことには一切言及していない。小説のような、家族の物語のような不思議な介護記録で、じんわりと心に沁みる本だった。

1.JPG
田舎から野菜が届いた。母が作ったキヌサヤがたくさん入っていたので、今日はシンプルにサッと茹でて、バター炒めにした。甘くて美味。この年になって、母親が作った野菜を食べられるなんて、幸せと思わねば。
コメント(3) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 3

pecotyan

あまり本を読まない私ですが、最近、珍しく
アマゾンで多田富雄の「寡黙な巨人」を購入し
一気に読みました。

免疫学者で多方面に活躍中に脳梗塞で半身不随となり
言葉までも失う。67歳になって間もなくのこと。
一時は死を覚悟した身でありながら生きる意味を見出そうと
する前向きな姿勢に感銘を受けました。

次に「残夢整理」を購入したので楽しみにしている所です。
by pecotyan (2012-06-26 07:49) 

clifton

昔、田舎では購読している雑誌や取り寄せの本を配達して
くれる本屋がありましたが、今はチェーンの本屋しかないので、
アマゾンは便利ですよね。うちの近所ですら個人経営の本屋は
消え去りました。なので、注文が簡単ですぐに届くアマゾンを
もっぱら利用しています。

多田富雄さんは、倒れてからも不自由な体で精力的に執筆、
されていましたね。脳出血で半麻痺となった社会学者の鶴見
和子さんとの往復書簡を読んだことがありますが、お二人の
学者魂に圧倒されました。
by clifton (2012-06-26 08:58) 

pecotyan

訂正です。

「寡黙な巨人」は「寡黙なる巨人」です。
by pecotyan (2012-06-26 09:03) 

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