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「それでもわたしは山に登る」を読む [読書]

先日帰省した折、田部井淳子さんが「徹子の部屋」に出て、抗がん剤の副作用で大変だったと話していたと母から聞かされた。今年の夏、被災地東北の高校生たちと富士山に登ったと新聞に載っていたから、病気だったとしても何年も前のことを告白したんじゃないのと母に言ったら、いや最近のことだと反論された。

帰宅してネットで調べたら、確かに病気になったのは去年だとわかった。そして、「それでもわたしは山に登る」という本が10月に文藝春秋社から出版されたばかりと知り、早速購入して読んだ。

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第1章は、「山から学んだこと」。山で切羽詰まった状態になった時、どう行動したかについて本にしたいという出版社の要請に応えて書いたもの。著者は雪崩でもうダメだと思ったことが3回あったという。豊富な登山歴の中から、いくつかのエピソードを紹介して、土壇場に立たされた時の判断力、リーダーシップのあり方、登山隊での人間関係の難しさについて書いている。これらの体験談から、田部井さんの考え方、人柄がよく伝わってきて、あらためて素敵な人だなあと思った。

第2章は、本のタイトルになっている「それでもわたしは山に登る」。東日本大震災後、東北応援プロジェクトで多忙を極めていた田部井さんは2012年3月、講演と被災者たちとのスノーシューハイキングのため郡山を訪れる。少し前から、お腹が張って食欲もなくなっていたので、その時に親戚の医師の診察を受けるが、もっと大きな病院がいいと言われ、緊急外来で再度診てもらう。そして腹水の中にがん細胞があり、かなり広範囲に広がっていて、余命3カ月と郡山の病院で宣告される。

それから、東京のがん専門病院に入院し、3月末から5カ月間で12回の抗がん剤投与-手術-5回の抗がん剤投与という治療を受ける。驚いたことにその間にもハイキングや山歩きを20回近くこなしていたのだ!副作用で、だるさや手足のしびれがあるというのに。

副作用がなくなったら楽になるだろうが、これも生きている証拠の一つと田部井さんは、前向きに考える。2007年に乳がんの手術をした時にも術後10日には海外の山に行っていたという。病気になっても、できるだけ普段の生活を続けるというのが彼女の流儀。田部井さんにとっては、歩くことがすなわち生きることなのだ。幸いにも抗癌剤が効いて、寛解という状態になり、今も国内外の山歩きを続けている。

先月参加したイランツアーを主催した旅行社は毎年、田部井さん同行の海外登山ツアーを企画している。今年の年末はニカラグアの最高峰登頂とパンフレットに載っていた。大病をしてまだ1年半なのにすごいなあと感心した。病気の方が逃げていくような、田部井さんの意欲的な生き方に圧倒された。
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